第27回京都国際学生映画祭 開催報告
第27回目となる京都国際学生映画祭は、2025年2月6日(木)から9日(日)までの4日間、京都文化博物館フィルムシアターにて開催されました。今年度は海外から377作品、国内から134作品、合計511作品の応募があり、その中から学生で構成される実行委員により選び抜かれた16作品が上映されました。
6日の開会式では、主催者を代表し、大学コンソーシアム京都小原理事長の挨拶が代読され、続いて京都国際学生映画祭企画検討委員会の由良泰人委員長、永田柾樹実行委員会委員長がそれぞれ挨拶を行いました。最終日の授賞式では、「グランプリ」「準グランプリ」、そして今年度の最終審査員である荒木啓子氏(ぴあフィルムフェスティバルディレクター)、今泉力哉監督、立川譲監督の名を冠した「最終審査員賞」、実行委員会が選出した「実行委員会賞」が発表されました。
最後に、永田実行委員長による閉会の辞で、第27回京都国際学生映画祭は幕を閉じました。
映画祭は以下のプログラムに沿って上映が実施されました。上映後には、入選監督および最終審査員によるアフタートークが行われました。
プログラムA 上映作品
『ボウル ミーツ ガール/BOWL MEETS GIRL』
監督:関駿太/24min/2024/日本大学/日本
『恍惚的眼前/How to Find Your Comrade in a Trance?』
監督:吳鎮序 Zhenxu Wu/36min/2023/Beijing Film Academy/中国
『Dissonance』
監督:Gauthier Gervaise/15min/2024/La Fémis/フランス
『REDMAN』
監督:キムソンジェ/14min/2024/京都精華大学/日本

4名の監督・関係者の、方々にご登壇いただき、「制作のきっかけ」や今後の展望についてお話しいただきました。
プログラムB 上映作品
『생일선물/BirthdayBlowout』
監督:Chung Jaehoon/18min/2023/Korea National University of Arts/韓国
『Heirloom』
監督:Rui Song/13min/2024/California College of the Arts/アメリカ
『Vortex』
監督:JANG Jae-Woo/19min/2024/Seoul Institute of the Arts/韓国
『새들의언덕/Thehills of birds』
監督:Lee Euntaek/27min/2024/Suwon University/韓国

『Heirloom』『Vortex』『Thehills of birds』の監督・関係者の方々にご登壇いただき、「作品に強く込められた思い」などを語っていただきました。
プログラムC 上映作品
『Searching for Sol』
監督:Jaime Morados/18min/2024/Meridian International College Inc./フィリピン
『Au 8ème Jour /On the 8th day』
監督:Agathe Sénéchal, Alicia Massez, Elise Debruyne, Flavie Carin, Théo Duhautois/8min/2023/Pôle 3D/フランス
『누가내배낭을훔쳐갔는가/THE BURDEN』
監督:孫 博驍 Boxiao Sun/25min/2024/Dongguk University/韓国
『Stabat Mater』
監督:Hadrien Maton, Quentin Wittevrongel, Arnaud Mege, Coline Thelliez, William Defrance/13min/2023/Pôle 3D/フランス
『にわとりはじめてとやにつく/The Hen Lays Its First Egg』
監督:栗原侑莉/16min/2024/東京藝術大学/日本

『THE BURDEN』、『にわとりはじめてとやにつく』の監督のお二人にご登壇いただき、作品の魅力について語っていただきました。
プログラムD 上映作品
『음어오아/MM, UH, OH, AH』
監督:Choi Nahye /16min /2024 /Korea National University of Art Arts /韓国
『Chaehwa』
監督:HONG Seung gi /21min /2024 /Sungkyul University /韓
『BOY MEETS HOME』
監督:永井哲太/71min/2024/立命館大学/日本

3作品全ての監督・関係者に登壇いただきました。実行委員が気になったシーンについて質問し、また、会場からも質問を受け付けました。
映画祭では入選作品の上映のほかに、実行委員会による3つの特別企画が上映されました。
【特別企画①】
サイレントシネマ〜弁士の語り、音の響き、無声映画の情熱上映作品
『殺し屋/The Killer』
監督:牧野光之丞,須藤啓介,伊勢元貴/27min/2022
『落第はしたけれど/I Flunked, But…』
監督:小津安二郎/86min/1930

学生監督による無台詞映画『殺し屋』を上映、小津安二郎監督作品「落第はしたけれど」を活弁写真弁士・ピアノ演奏付きで上映しました。上映後は、活弁写真弁士の大森くみこ氏と楽士の鳥飼りょう氏に、活弁、無声映画の魅力と学生映画について語っていただきました。
【特別企画②】
活躍する監督たち〜学生時代の作品特集〜上映作品
『EDMOND』
監督:Nina GANTZ/9min/2015/イギリス
『La Culpa,probablemente/The guilt,probably』
Micheal LABARCA/14min/2016/ベネズエラ
『Ri Guang Zhi Xia』/Under the Sun
監督:QIU Yang/19min/2015/オーストラリア・中国
『LOST UTOPIA』
監督:水江未来/5min/2007/日本
『GO GO まりこ』/GO GO Mariko
監督:前野朋哉/20min/2008/日本

現在活躍されている監督の京都国際学生映画祭の入選作品(過去作)を上映しました。
【特別企画③】
Scream on Screen!〜学生ホラーの世界〜上映作品
『블랙박스/BLACKBOX』
監督:JUNG Kyungryoul/12min/2024/韓国
『Perspective』
監督:吉岡一靖,木村響/18min/2024/日本
『껌벅/Flicker』
監督:OH Daeun/14min/2024/韓国
学生ホラーを特集した上映を行いました。演出の技巧が際立つ作品がそろい、多様なホラーのアプローチが光る上映となりました。
また、本年度の最終審査員をお務めいただいた3名の方にゆかりのある作品を上映しました。
【最終審査員企画】
荒木啓子 PFF ディレクター上映企画上映作品
『I AM NOT INVISIBLE』(PFFアワード2024 グランプリ作品)
監督:川島佑喜/24min
『秋の風吹く』(PFFアワード2024 準グランプリ作品)
監督:稲川悠司/62min

PFFアワード2024 グランプリ作品『I AM NOT INVISIBLE』と準グランプリ作品『秋の風吹く』の2作品を上映しました。荒木氏からは作品が選出された背景や、PFFのセレクションの特色などをお話いただきました。また、『秋の風吹く』の稲川悠司監督にも登壇いただき、お二方のお話を伺う貴重な時間となりました。
立川譲監督上映企画
『BLUE GIANT』 監督:立川 譲/120min/2023

アフタートークでは、立川監督から、劇中で登場するライブシーンの制作秘話をお話しいただきました。
会場からも迫力ある演奏について、質問が寄せられ、興味深いお話を伺うことができました。
今泉力哉監督上映企画
『最低』
監督:今泉力哉/34min/2009
上映作品『最低』を通じて、ご自身の初期作からの変化についてお話しいただきました。また、学生監督へのエールや、来場者との質疑応答など、短い時間ながら密度の濃い時間となりました。

また、本年度は、最終審査員3名による『最終審査員トークショー』を実施しました。
実行委員からは、『映画の見方』や『映画の今後』といったテーマについて質問し、最終審査員の皆様から貴重なアドバイスをいただきました。その後、議論は映画に関する多岐にわたる話題へと広がり、充実した時間となりました。

最終日には、授賞式および閉会式を挙行しました。まず「実行委員会賞」の発表が行われ、関駿太監督の『ボウル ミーツ ガール』に賞が贈られました。
続いて「最終審査員賞」が発表され、以下の3作品に、それぞれ賞が贈られました。
荒木啓子賞としてChoiNahye監督の『MM, UH, OH, AH』、今泉力哉賞としてGauthier Gervaise監督の
『Dissonance』、立川譲賞としてAgathe Sénéchal, Alicia Massez, Elise Debruyne, Flavie Carin, Théo Duhautois監督の『On the 8th day』が受賞しました。



左から、関駿太監督、Choi Nahye監督、Enzo Magen氏(「Dissonance」脚本)
続いて、準グランプリ、グランプリが最終審査員より発表されました。準グランプリに、Hadrien Maton, Maton,Quent in Wittevrongel, Arnaud Mege, Coline Thelliez, William Defrance監督『Stabat Mater』、「グランプリ」はZhenxu Wu監督『How to Find Your Comrade in a Trance? 』がその栄誉に輝き、トロフィと賞状、副賞が贈られました。

左から主演のYu Changqing 氏、 Zhenxu Wu監督
(「How to Find Your Comrade in a Trance? 』」)
本年度も世界中から多くの学生映画の応募があり、映画への熱い想いが込められた作品を上映することができました。また、関係者の皆様にご協力・ご支援をいただき、そして多くの観客の皆様にご来場いただきましたこと、心より感謝申し上げます。
京都国際学生映画祭は、映画を中心とする文化の発展に寄与できるよう、今後も精力的に活動を続けてまいります。

入選監督、最終審査員、学生実行委員による集合写真
京都国際学生映画祭実行委員会
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